未経験女性がMRを目指すことはできる?中途採用の動向からアピール方法を分析してみた
MRになりたいという女性は増えています。
しかし、その半面でMRとして働く人の数はどんどん減少傾向にあります。
そのような中で、MR未経験者が中途採用されることはあるのでしょうか。
実際のデータをもとにして、未経験者女性が採用されるポイントについて分析してみました。
未経験女性がMRを目指すことはできる?アピールポイントは?
未経験者のMR求人はそれほど多いわけではありません。
ただ、看護師など医療関係者や他業界からの転職については、一定割合で採用されていることが分かっていますので、しっかりと準備をしておくことで採用される可能性が高まります。
2020年からは新型コロナウイルス感染症の影響もあり、自粛によるリモートワークが推奨されるようになりました。
そのため、実際に病院に足を運び、医師と面談することなく、業務を行うことが増えたために、1人のMRの担当数や担当エリアが増えている傾向にあります。
つまり、効率よく業務をこなすことができ、さらにリモートでも営業力を発揮することができるコミュニケーション能力が問われるようになったのです。
もちろん、そこにMRの経験があれば有利であることは間違いありませんが、医薬品卸などメディカル営業などの経験があれば優遇される材料になるでしょう。
もし、医薬品などの専門知識を有しているのであれば、そこはしっかりとアピールしておきたいところです。
また、製薬業界ではない他業界からの転職も一定数採用されていることから、まったくの未経験であるとしても諦める必要はありません。
営業スキルなどのキャリアを有しているのであれば、MRの仕事に結び付けることができるでしょう。
MRに関連している企業の最近の中途採用の動向は?
MR職に従事している人は、現在減少傾向が続いていることが分かっています。
薬価の引き下げ、後発医薬品の普及などによって、医薬品業界の収益が悪くなっているために営業体制の見直しが進められています。
原因はさまざま挙げられていますが、今までMRは多すぎたのかもしれません。
特に、新型コロナウイルス感染症の影響によってリモートワーク中心の勤務形態となりました。
業界全体で見直しが必要だと感じたMRや医薬品業界関係者は多いのではないでしょうか。
ここでは、MRに関連している企業の、最近の中途採用の動向についてご紹介します。
新卒でMRの採用をする企業は減少
年度 |
新卒採用をした企業の割合 |
2020年度 |
42.5% |
2019年度 |
42.9% |
2018年度 |
43.8% |
2017年度 |
46.2% |
2016年度 |
46.9% |
※公益財団法人MR認定センター「MR白書」より抜粋して筆者作成
「MRは多すぎる」ということを裏付けるように、新卒採用を行う企業が減っていることが分かっています。
公益財団法人MR認定センターが公表している「2020年版MR白書-MRの実態および教育研修の変動調査-」によりますと、2020年度に新卒採用した企業は42.5%に留まっていることが分かります。
しかも2020年度に限った話ではなく、過去5年間を遡って調べてみても、減少傾向が顕著であることが見て取れるのではないでしょうか。
ちなみにこの調査対象となった企業は、公益財団法人MR認定センターに登録している200社であり、製薬企業185社、CSO14社、卸1社の内訳となっています。
恐らくこの状況は今後も続くものであると考えられるために、新卒者にとってMRへの就職はなかなか厳しい状況なるのではないかと考えられます。
MRの中途採用をする企業は…
年度 |
新卒採用をした企業の割合 |
2020年度 |
65.0% |
2019年度 |
62.6% |
2018年度 |
61.4% |
2017年度 |
62.4% |
2016年度 |
64.3% |
※公益財団法人MR認定センター「MR白書」より抜粋して筆者作成
では中途採用者はどうなのでしょうか。
これも先ほどお伝えした公益財団法人MR認定センターに登録している200社での状況になりますが、新卒採用よりも高い水準で採用されていることが分かります。
年度においても増減はあるものの、業界内では中途採用にシフトしていることが、見て取れるのではないでしょうか。
MRの採用は今後どうなる?
上記でもお伝えした通り、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を機に、さらに減少傾向になるのではないかと考えます。
MRに限ったことではありませんが「営業は足で稼ぐ」と言われた時代がありました。
今後は医療機関への訪問の自粛やリモートワークの推進が進むことで、1人のMRが対応するエリアや病院、医師の数は当然ながら増えるでしょう。
実際、中外製薬では、コミュニケーションツールである「LINE」を活用した、非対面コミュニケーションの円滑化を進めています(中外製薬ニュースリリース)。
このように、すでにリモート専任のMRを配置している企業もあることから、以前のように「足で稼ぐ」必要はなくなったと言えるのかもしれません。
ということからすると、新卒採用者が少なくなり、中途採用者が採用されている状況を理解することができるでしょう。
即戦力となるMRを採用したり、未経験であってもコミュニケーション応力に長けているなどといった戦力となる人材が重宝されることになるのです。
少し内容は外れてしまいますが、大日本住友製薬では「バーチャルMR」が導入されていることが注目されています(大日本住友製薬:バーチャルMR)
今後このような2次元MRが増えてくるのかもしれません。
MR未経験者の採用は?
年度 |
特約店関係者 |
医療関係者 |
他業界 |
2020年度 |
12.3% |
6.2% |
16.2% |
2019年度 |
15.0% |
3.1% |
10.2% |
2018年度 |
19.4% |
3.9% |
17.8% |
2017年度 |
19.1% |
5.3% |
20.6% |
2016年度 |
21.1% |
4.5% |
20.3% |
※公益財団法人MR認定センター「MR白書」より抜粋して筆者作成
上記の表は、中途採用者の前職について調べたものになっています。採用した企業の割合を示したものです。
「製薬会社MR」がもっとも多い数字で、その次には「コントラクトMR」が多くなっていますので、その部分については省いています。
「特約店関係者」というのは、医薬品卸などの仕事に就いていた人のことを指しており、比較的MRに近い立場で働いていることが分かります。
営業経験のないような未経験者であれば、いったん「特約店関係者」、つまりメディカル営業などMRに関連する職種に就いておくこともひとつの方法であると言えるでしょう。
医療関係者は薬剤師や看護師、検査技師などとなっています。他業界からの転職も、比較的多い割合になっていることも見て取れます。
あくまでこの数字は前職ということでありますので、前々職がMRであったという可能性はありますが、それでもMRではない人の採用が一定数あることは理解できるのではないでしょうか。
未経験者採用も一定程度あることから、今後も転職希望者は増えることが予想されます。
MRについての採用の厳しさばかりに着目しがちではありますが、医薬品業界にとってなくてはならない存在であるのは間違いありません。
経験者だけが優遇される世界ではないと考えて、転職準備を始めてみることもいいのではないでしょうか。
まとめ
MRになりたいという未経験の女性のために、採用されるポイントについてお伝えしてみました。
MRは新卒採用者が減っており、中途採用者が増えています。
これはMRとして働く人の数はどんどん減少傾向にある中で、「即戦力を確保したい」という製薬会社など採用企業の意思の表れだと感じます。
採用者のデータを見ても、MR経験者だけではなく、他業界からも一定の割合で採用されていることが分かりました。
そのような状況からしても、採用する製薬会社などがMRに対して何を求めているかをしっかりと理解すれば、採用される確立は高まってきます。
しっかりと転職先の企業、また自身の分析を行って、準備したうえで転職活動を行うようにしましょう。