世の中には、企業で働く薬剤師がたくさん存在します。その中でも、MR薬剤師はかなりの数を占めます。薬剤師資格をもちながら、製薬企業の営業として頑張るのです。 このとき新卒薬剤師でMRになる人はたくさんいますが、何年か働いた後に「MRから薬剤師」へ転職する人の割合は非常に高いです。薬剤師からMRへ転職する人はほぼいませんが、MRから薬剤師へ転職して働くのは普通です。元MR薬剤師が調剤薬局やドラッグストア、病院などの一般的な薬剤師として活躍するようになるのです。 MR以外への転職であると、当然ながら未経験での転職になります。調剤経験はありませんし、その他の企業へ就職するにしてもゼロからのスタートです。 そのため薬剤師として働き始めることに不安を覚える人は多いですが、MR経験者には他の薬剤師にはない強みがあります。MR薬剤師の強みを活かせば、問題なくMR以外の職種へ転職できるようになります。そこで、MRがどのように考えて薬剤師資格を活かし、就職先を見つければいいのかについて解説していきます。
薬剤師資格を活かしてMRから薬剤師になる理由
前述の通りMRから薬剤師になる人は多く、私が転職して働くようになった調剤薬局にも「元MRの薬剤師」が2人いました。1人は男性の管理薬剤師であり、地元は大阪ですが外資系製薬会社のMRとして赴任した先で8年ほど働いた後、同じ地域で薬局薬剤師をするようになったようです。 もう1人は女性のパート薬剤師でした。中小製薬企業のMRとして赴任し、2年ほど働いたときに結婚して、同じくMRとして活躍していた地域で薬剤師をすることになったと話してくれました。 それでは製薬企業のMRから一般的な薬剤師として転職するとき、このようなMR薬剤師はなぜ薬局や病院へ転職しようと考えるのでしょうか。私の周囲にいる薬剤師を見ると、MRをしていた人のうちほとんどの割合で一般的な薬剤師をするようになっています。これには、主に以下のような理由があります。
直接患者さんに関わる仕事がしたい
MRとして活躍するとなると、基本は医師へ薬の説明を行ったり、薬局へ出向いて薬の説明会を開催したりなど、医薬品の営業活動を行うことになります。薬の説明を行う以外にも、資材の提供によって医療行為の手助けをすることも多いです。 他にも医薬品卸MSのところに朝早くから出向き、販促の相談をします。一緒にプロモーションを進める準備をするのです。 このとき、MRが薬を触ることはありません。薬局や病院の薬剤師のように調剤するわけではありませんし、実際に薬を届けるのは医薬品卸です。そういう意味では、実物の医薬品を触ることなく営業活動をすることになります。 ただ、MRとして活躍するときには医師や薬剤師と話す機会が多いため、「自分も患者さんに直接関わる仕事をしたい」と考えるようになる人がいます。 また薬剤師免許をもっているため、調剤経験がないことに焦りを覚える人もいます。こうしたとき、薬局や病院の薬剤師を目指そうと考えるのです。MRだと、薬剤師資格があっても仕事で有利には働きません。一方で薬剤師の場合、資格がなければ仕事を行えないため、薬剤師免許を活かした仕事をするのです。