MRから管理薬剤師に転職することはできる?管理薬剤師になる方法や収入を完全解説
「どうせ薬剤師に転職するなら管理薬剤師に…」 薬剤師に転職するなら「管理薬剤師」を目指したいという志を持っているMRが少なくありません。
「管理薬剤師」とは薬局などに配置を義務付けられている薬剤師のリーダー的存在であり、医薬品管理や情報提供など幅広い業務を担います。 そのため、一般薬剤師よりも高収入であり、収入が下ってしまうことを懸念しているMRからも注目されているのです。
ここでは管理薬剤師とはどのような仕事をしているのか、どうすればなれるのか、どのくらいの収入が得られるのか、など詳しくお伝えしていきます。
管理薬剤師とは
「管理薬剤師」とは「薬局長」と呼ばれることもある職種であり、医薬品を取り扱う薬局の各店舗に配置しなければならない責任者のことを指しています。 医薬品の管理、医薬品を適正に使用するための情報提供、薬剤師の適切な管理・監督、などといった役割を持っています。
現場の薬剤師をまとめるリーダーとして重要な役割が求められており、年収も一般の薬剤師と大きな差があることから注目されている職種です。 管理薬剤師とはどのような仕事をしているのか、またどのようにすれば管理薬剤師になれるのかご説明していきましょう。
管理薬剤師の仕事
- 医薬品の管理
- 医薬品を適正に使用するための情報提供
- 薬剤師の適切な管理・監督
管理薬剤師の仕事を大きく分けると、上記の通り3つにまとめることができます。
「医薬品の管理」は薬剤師の中でも基本的な業務ではありますが、管理薬剤師の仕事としてはさらに役割が大きくなります。 店舗内にある医薬品の品質が損なわないように、遮光や冷所など、適切に保管や貯蔵、陳列を行わねばなりません。 もし適切に保管するための設備に問題があるような場合には、いち早く対処し改善しなければならないのです。
また、医薬品に不良品があった場合や有効期限が切れているものを見つけた場合には、処分するなど適切な対応が求められます。 薬局での業務においては、お客様から薬剤についての相談がある場合も多いでしょう。 医薬品を適切に使用できるよう必要な情報を提供しなければなりません。そのために自身が医薬品に対する情報を把握しておかねばならないのです。
もし副作用が生じるような場合には、適切に対処しなければならないでしょう。 さらに現場の薬剤師や従業員を管理することも重要な業務です。
薬局にはさまざまなお客様が来られますが、接客態度はもちろんのこと、マナーや法令順守、情報提供の方法など、指導しておかねばならないのです。
管理薬剤師の職場
- 病院
- 保険薬局・調剤薬局
- ドラッグストア
- 企業
管理薬剤師は、医薬品等を取り扱う薬局に配置しなければならないことが薬機法(医薬品医療機器等法)において定められています。 管理薬剤師が配置される薬局は上記4つが挙げられ、それぞれの現場によっても求められている役割が異なります。
「病院」の薬局においては薬事責任者のポストとして配置されていることが多く、通院患者だけではなく入院患者に対する処方や調剤も行っています。 病院によっては治験や製薬に関わるようなこともあります。
「保険薬局・調剤薬局」は薬局の責任者として配置されており、薬剤師業務の管理・監督を行うことになります。 大手の薬局チェーンのような場合には、薬局の経営に積極的に関わるようなこともあります。
「ドラッグストア」は店舗で働く薬剤師や従業員の責任者として、店舗を切り盛りしていることが多く見受けられます。 店舗には医薬品だけではなく、食品や化粧品、雑貨、日用品なども取り扱っており、これらの商品管理なども担わなければなりません。 チェーンの場合には経営管理も任されていることも珍しくないために、経営センスが良ければ報酬アップ、昇進が早くなることもあります。
「企業」は製薬企業をはじめ、化粧品会社、医療機器会社などに配置されており、医薬品の管理などだけではなく、医薬品の開発や販売、従業員の管理に携わることが多くなっています。
管理薬剤師に求められている役割
管理薬剤師はそのネーミング通り、現場の薬剤師を管理・指導して育成していくことが役割として求められています。
現場の薬剤師は経験豊富な薬剤師だけではなく、時には未経験者が入社してくるようなこともあります。薬剤師以外にも従業員が働いています。 地域に信頼される薬局として機能できるように、現場を束ねるリーダーとしてマネジメントを行い、また経営に関わって収益をあげる努力も必要となります。
利用されるお客様には、医薬品の情報や副作用に関する情報を適切に伝える必要があります。
管理薬剤師になるには
- 内部昇進
- 管理薬剤師への転職
管理薬剤師は国家資格の取得や研修の受講などは必要ありません。
ただし、管理・監督責任がありますので、パートなどではなく、常勤で雇用される必要があると考えておきましょう。 管理薬剤師になる方法としては、上記に掲げた通り、2種類の方法があります。
「内部昇進」は薬剤師として業務経験を積む中で、昇進によって管理薬剤師となることを指しています。 一般的には3~5年以上の実務経験が必要であると考えられています。 それは厚生労働省が推進する「かかりつけ薬局」では薬剤師として実務経験が5年以上の経験が必要であると定められているためです。
また薬局で取得できる地域支援体制加算の基準についても実務経験が5年以上の経験が必須となっています。 そのため、内部昇進で管理薬剤師を目指すためには5年程度の実績が必要であると考えておいた方がいいかもしれません。
また転職によって管理薬剤師に就くことも可能です。 求人の中には管理薬剤師を募集しているものもあるために、薬剤師の経験が5年以上あり、マネジメント能力などに自信があるならば、応募してみるといいでしょう。
管理薬剤師の収入
管理薬剤師の収入 | |
保険薬局(店舗数1店舗) | 8,250,804円 |
保険薬局(店舗数2~5店舗) | 8,053,307円 |
保険薬局(店舗数20店舗以上) | 6,780,233円 |
保険薬局(全体) | 7,523,780円 |
「第22回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告-令和元年実施」をもとに筆者作成 厚生労働省の「第22回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告-令和元年実施」を見てみると、管理薬剤師の収入は薬局や店舗などの状況によっても収入は異なることがわかります。
保険薬局全体で言えば、約750万円となっており、少ない店舗数の保険薬局であれば800万円以上の収入となっています。 これを一般の薬剤師と比較すると、次のように示すことができます。
管理薬剤師の収入 | 薬剤師の収入 | |
保険薬局(店舗数1店舗) | 8,250,804円 | 4,449,514円 |
保険薬局(店舗数2~5店舗) | 8,053,307円 | 4,721,781円 |
保険薬局(店舗数20店舗以上) | 6,780,233円 | 4,891,469円 |
保険薬局(全体) | 7,523,780円 | 4,738,472円 |
「第22回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告-令和元年実施」をもとに筆者作成 この表をご覧になってもおわかりになる通り、管理薬剤師と薬剤師では最大で300万円以上の差があることが知ることができます。 このような状況から見ても、いち早く薬剤師としての経験を積み、管理薬剤師を目指したいと考える方も多いのではないでしょうか。
まとめ
薬剤師への転職を考えているMRのために管理薬剤師の情報を詳しくお伝えしました。
薬剤師のリーダー的な存在であり、マネジメント力、経営スキルを磨くことができる職種です。 しかも年収も格段にアップさせることができますので、MRでの収入に近づけるためにも、目指すことをおすすめします。 どの薬局やドラッグストアに転職すれば良いのかについては、管理薬剤師への昇進も踏まえて考えておく必要があります。
そのため、薬剤師転職に特化した転職エージェントに登録し、キャリアコンサルタントに相談することをおすすめします。 管理薬剤師に昇進できるシステムがある薬局に転職しておくことが大切です。
キャリアコンサルタントであれば、日常的に病院や薬局、ドラッグストアなどの人事部や採用担当者とやり取りをしているためにさまざまな情報を掴んでいます。 ぜひうまく活用して、薬剤師への転職を成功させてください。
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